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2010年4月 Archive

カンヌヤングコンペでコンスタントに勝つ方法

  • Posted by: nakamura
  • 2010年4月21日 13:11
  • Work | thoughts

ろくたんくん、大西くんへ。
そして、今後、カンヌヤングコンペに出場しようと思っている人、出場する人へ。


1.予習する

海外で流行のバナー、流行の公共広告を押さえておく。
TAP WATER、去年のフィルム、サイバー、いくらでも文献はある。
ほとんどの手が「現実をつきつけてびっくりさせる」か、
「さらにそれをポジティブに描く」ものばかり。
「今年は何が来るんだろうな」というものを、ある程度予習しておいて、
自分たちの答えを作っておくといい。

つぎに、バナー。
世界中のおもしろバナーの事例は、ここに集まっている

これを、ざざーっと見てみるとわかるんだけど、
おもしろバナーにも、たいがい分類がある。

ざっとぼくが思うのは、こんな系。
・●●かと思っていたら、●●じゃなかった。
 (ゲームかと思っていたら、交通事故の啓蒙だった)
・マウスカーソルを擬人化
・Google Mapsとか、Box2Dとか、Twitter,FacebookのようなAPIを使う
・スクロールバーとか、実際のUIで韻を踏む

こういうのの、いずれにも入らないような、まったく斬新なものが、実際のアワードでは金賞をとっている。
こういうのとかね
でも、そこまで考えなくてもいい。自分の勝利の方程式に入れるものがあれば、
ブロンズレベルでゴールドはとれる。

 

 

2.中村のときはどうだったか

ぼくのときは、「Right to play」というのが課題だった。
「貧しい国に、食べ物じゃなくて、スポーツで寄付をする」という変わった団体。
オリエンシートに書いてあったのは、
「なぜかというと、戦時下にあって辛い子供たちは、サッカーで遊ぶことすら知らない。
 毎日生きるか死ぬかの瀬戸際で、精神的にも逼迫している。
 食料で寄付をする団体はある。だけど、食料は食べたらなくなる。
 ところが、スポーツは、ルールとボールを与えてあげると、なくならない。
 スポーツをしているときには、辛い状況も忘れて、精神的に健康になれる」
ということだった。なるほどなあ...と思った。

SPFDesignの鎌田さんとタッグを組んだ。鎌田さんはデザインもFlashも企画もできる。
ぼくはFlashと企画が得意なので、鎌田さんにデザインしてもらって、
ぼくがFlashを組むことにしていた。

ぼくが考えていたことは二つ。
(1)絶対に、コピーで戦わない。
 オリエンシートがいいだけに、みんなそれをやって失敗する。
 ベストは、コピーがひとつもないくらいの状態。あって一言。

(2)明け方までに、絶対に案をFIXする。
 正念場だから、ベストオブベストを頭で考えてしまって、お互い若いもの同士だから「これでいこう!」の瞬間がなかなか訪れない。
 ぼくが決めて、方向を先導してあげたいなと考えていた。明け方にパレがオープンしても、まだ考えていたり、向こうで方向性を一変させるようなら、もう負けたと思ったほうがいい。

結果からいうと、作ったのはこれ

こりゃ絶対に勝った、ほかのやつらがこのレベルを12時間で作れるはずがない、と思った。
しかし、2位だった。1位はブラジルだった。

このときに使った「手」を紹介するね。

●じつは、事前にホテルで5割作っていた
 パレに入ってからはじめたのでは、これは多分間に合わない。だから、ホテルですでにモックを組み始めていた。
 しかし、当時のルールでは、一切のデジタルなものは持ち込み禁止。USBメモリをつなごうものなら、即刻失格。
 じゃあ、アナログだったらいいんだろ、ということで、
 明け方まで書いたコードを日本にメールした。そして、それをホテルにFAXしてもらった。
 翌日はパレで、それを新たに丸写しした。これで、時間を大幅に稼ぐことができた。

●きついレギュレーション
 ぼくのときは、「60KB、12fps以内」というレギュレーションだった。
 これはなかなかきつい。ぼくらの作品をよく見るとわかるんだけど、地面のテクスチャは、
 小さなものを折り返して使っている。
 12fps問題。これを解決するには、

 setInterval(myFunc,33);

 とやって、myFuncのなかで、すべての動きを書き、updateAfterEvent()をかけてやる。
 こうすることによって、12fpsなのに、実際の動作は30fpsになる。

 


3.がんばる意味

なんだろうね。でも現場に行って、勝ったとき、負けたとき、その意味の大きさがわかると思うよ。
負けたり、100%を出し切れなかったら、きっとメチャクチャ悔しいはず。
そして、おそらく二度とはチャンスはめぐってこない。
ぼくは運がいいことに、三度もめぐってきた。
だけど、選外、2位、2位という結果しかもらえなかった。
世界中から、同じようなことを考えてる、同じような年のやつらが集まってきて、一番を決めるっていう、
天下一武道会みたいなイベントは、ほかにはなかなかない。
きっと面白いから、たくさん予習をして、全力を出し切れるようにがんばってみてね。


夢のような一日だった

  • Posted by: nakamura
  • 2010年4月15日 02:29

おとついは、世のサラリーマンのほとんどがそうであるように、大量のTODOを残して寝た。
くだらないことでもツイートして、せいせいして寝た。

で、朝起きたら300RTつけられていた。

はて、Twitterぶっこわれたかな?
また例によって寝坊したので、移動中にechofon開いたら、RTが多すぎて、iPhoneがフリーズしてしまった。

なにかがおかしい。

フリーズしたechofonを読むと、確実に前のブログの記事が発端になっているようだ。
なんだこれは。たかが午前3:00くらいの、モノローグのような記事が、こんなことになってしまうのだろうか?

否否否否否否否否、断じて否。

さいきん、アレとかコレとか、いかに世の中にWebのアイデアで振り向いてもらうか、みたいなことを考えていたので、思い詰めてしまったのではなかろうか。
つまり、まだ夢の中なのではないだろうか。
夢の中で「これは夢だ」と自覚したら、その自覚を持った瞬間に覚めてしまうので、その考えは伏せ、とりあえず、宮﨑あおいと結婚※することを想像してみた。(※強引に離婚した設定)
しかし、あおいちゃんは出てくるはずもなく、嘘を飲み込み静かに眠ってる都会の喧噪があるだけだった。

そして、出社すると、通りすがったみんながぼくに声をかけてきた。
「見たよ〜」
「なんか、ヒロキくん、話題になってない?」

......!

夢ではなかった。
時空も歪んではいなかった。




ただ、「サマーウォーズ」で、主人公が指名手配になったときのような感覚を覚えた。
うんこ指名手配。
そうこうしている間に、RTは2000を超えた。
とくに、さとなおさんはあちゅうのRTがバズを加速した。はあちゅうには一度も会ったことがないので、もう恥ずかしいから会わずに一生を終えようと思う。
あんなことこんなことになってしまった。
そして、3486RTされた。

興味深いのは、ぼくは常に「どうすれば世界に振り向いてもらえるだろう」と思ってコンテンツを考えているのだが、まったく世界に振り向いてほしくない、B級なものが、みんなにちょうどよかった、という点だ。
名著「ウェブはバカと暇人のもの」を思い出す。
もちろん「世界中に知られてもいいや」という覚悟で書いたのだが。
「ソーシャルインサイト」とは、いくら求めても得られない、目の中のミジンコピンピン現象のようなものなのだろうか。

あしたは某Twitter使いのバンド様と、某カード会社様にプレゼンがある。
両方ともTwitterを絡めた提案だ。もう100%この話になることはまちがいない。
「Twitterは、使いようによっては、ものすごいバイラル効果を生むんですよ」
「ほう、たとえば何かあなたに成功事例があるんですか」
「あ...と。あるにはあるんですが...。言えません」
......。

思えば、つくづくうんこには縁があって、カイブツ木谷さんのデザイナー募集告知に、このようなムービーを作ったこともあった。



このバチがあたったのだろうか。

とにかく、Webとか広告みたいな宙ぶらりんなものが、いかに世の中をくだらなく楽しくできるかという、「ちょいまちがった集合知」みたいなものを作りたいと思っているので、ぼくの経験が世の中の人を少しでもハッピーにできたと思えば幸いです。


また、「洗面所で全部洗い流すという発想はなかったのか」というご指摘を受けました。
大変興味深い話ですが、そのためにはまず、フルチン状態で個室から出ると、フルチン状態のまま鉄道警察に連行されてしまうことになりかねないので、先ずはトイレの水にとんでもない状態のパンツを便器に漬け込んで洗い、そのびちょびちょのパンツを履いた、魔界村のアーサー的状況@渋谷駅のトイレで、とんでもない状態のジーパンを洗い流すという、メタルギアソリッド的に言えばカモフラージュ率マイナス50000%の行為をしなければならないことも想像してほしい。
みんなの頭の上にびっくりマークである。「ウィィン!」である。

あなたにそれができますか。
あなたはこんな顔で死ねますか? (c)漫F画太郎

でも公共の利益のためにはそれがよかったのかもしれない。

そう、公共の利益。

それが一番大事。

.いや、大事MANブラザーズバンドは、もういい。


トイレがないせいで、病気で亡くなっている子供たちが、今も世界のどこかにいる。
今日も日本は平和である。
だから、そういう世界を、ちょっとでもWebの話法でよくすることが、ぼくの力でできないだろうか。
どうせ、広告はクライアント様のお金をお借りして行う行為なので、システムの力で、この世の中の苦痛を、少しでも楽しい方向に向けることはできないだろうか。
そんなことを考えている。

そういう意味で、みなさんがRTしてくれたのは、メチャクチャ嬉しいです。
こっぱずかしいが、夢のような一日でした。ありがとうございました。
いつか今日のことが、そんな楽しい方向への、小さな第一歩に結びつけばいいな。

といい感じにシメてみる



31歳にしてうんこをもらしました

  • Posted by: nakamura
  • 2010年4月14日 03:02

その日は、巨匠マンガ家I先生の事務所で打ち合わせだった。
I先生といえば、1億冊売れたバスケマンガのI先生である。
常に打ち合わせでも緊張が走る。最高の仕事をしてあげたいと思っている。

なのに、完全に寝坊した。
したがって、起きて5分で家を出た。
まずここがいけなかった。
ぼくは、起きてすぐに腹を冷やすと、だいたいおなかがくだるのだ。

I先生の事務所は、世田谷方面。ぼくの家は、東雲である。
間に合うか間に合わないかは、渋谷駅でのスムーズな乗り換えにかかっていた。

ところが、表参道駅で、急速に来た。やつが来た。
強烈な腹痛である。

しかも、まちがいなくこれは、うんこに起因する腹痛だ。

渋谷駅につくころには、ぼくはもうラマーズ法で息をしていた。
ひーひーふー、である。
もしくは、虫の息と言ってもよかった。
腹痛というものは、「波」がある。
波は、来るたびに勢いを増す。そのときはとにかくこらえる。で、ひいたときに素早く行動するのがコツだ。

半蔵門線の連絡通路は、予想GUYにトイレが近かった。
やった!間に合う!

しかし、みなさんもご存じであろうが、たいていこういう時、
人は無意識に、「トイレにつくであろうギリギリのタイミングに、自分のお腹の限界をセット」してしまうのだ。

しかし、トイレは4つとも使用中だった。予想GUYだった。
カイジのごとく「ぐにゃあ」と視界が歪んだ。
限界だと思っていたお腹は、「約束違うだろコラ!」とぼくを責め立てた。
とりあえず、すべてのドアをノックしてまわった。返事があったかどうかも覚えていない。
お腹はぼくの尻をノックし、ぼくはトイレのドアをノックし、同時にヘブンズドアもノックしはじめていた。
YELOW MONKEYの「SPARK」が脳内を駆け抜けた。
Are you ready for SPARK?

もちろん、I'm ready for SPARKである。Yes I canである。

新しい何かが俺の中で目覚める世界は回る
命は生まれ いずれ消え

あっ

ああっ

あああああッーー!!



で。
もう形容したくもないが、パンツどころか、ジーパンまで逝ってしまった。
紙で拭けるぶんは紙で拭いた。
そして、打ち合わせの時間になったが、ぼくはまだトイレの中で拭き作業をしていた。

どうしよう。
どどどうしよう。

まず、I先生の事務所に行くべきだろうか?
そんなわけないだろう。
アホかオレは。まともな打ち合わせができるか。
今のぼくには、I先生の新聞広告より、大事なものがある。
それは、人間の尊厳だ。というか、うんこを漏らしていない状態だ。それが一番大事だ。
大事MANブラザーズバンドは嘘つきだ、とぼくは思った。
負けない事投げ出さない事逃げ出さない事信じ抜く事。
どれよりも、「うんこを漏らしてないこと」のほうが大事だ。
今のぼくは、投げ出して逃げ出すことのほうが大事なのである。
こんなことならブルーハーツなんて好きになるんじゃなかった。
よし、今日は断念しよう。
さあ、ドアを開けて、ここを出よう。

ちょっとまて。

というか、ここは渋谷駅である。
歯車が回り続ける街、渋谷である。
駅前のスクランブル交差点には、一回の青の信号に1000人くらい往来しちゃう、あの渋谷である。
いやだ。ここから出たくない。
いま渋谷で、うんこを漏らしている人が何人いるだろうか。ぼくしかいない。
人はなぜ、みんなうんこをするのに、ぼくだけがうんこをもらしているのだろうか。哲学的な問いである。

ユニクロにジーパンを買いにいくか。いや、レジに行けない。レジに行ったら、
「くさっ!......ははあ、こいつはうんこを漏らして、替えのジーパンを買いにきたな」とモロバレである。
というか、もはやジーパンだけを変えればすむレベルではない。

タクシーに乗って帰るか。
悪くない。悪くないが、運転手さんも、本日の商売あがったりだ。
都会は冷たい。「うんこ漏らしてるんですけど乗っていいですか」などと言ったら、乗車拒否されるかもしれない。
というか、人とコミュニケーションをとりたくない。
誰にも会いたくないの。いま。

電車に乗って帰るか。
半蔵門線渋谷駅って、ありえない人数である。同じ車両に乗っている人みんなに迷惑がかかる。
そんなのいやだ。そんな迷惑かけるくらいなら、死んだほうがいい。

死ぬか。

いまや、それがベストな選択肢のように思えた。

しかし、それで死んだら、ぼくの人生なんなのだ。愛する人の顔、みんなの笑顔が浮かんだ。
ぼくのWikipediaは存在しないが、もし死後作られたら、
「テクニカルディレクターと称して、インターネットで面白いバナーやWebサイトを作ったりしたが、
 渋谷駅でうんこをもらして、舌を噛み切って死んだ」
で結ばれてしまう。葬式もみんな、半笑いである。
まあ、それはけっこういいかもしれない。
リーンカーネーションってあるんだろうか。次に生まれてくるときは、虫かなあ。

結局、電車で帰ることにした。
戦略はひとつ。外界との遮断を一切断つことだ。イヤホンをつけて、ずっとiPhoneをいじっていよう。Twitterでも呑気に見ていればいいではないか。

時間を見ると、打ち合わせの時間を8分過ぎていた。
とりあえず、プロデューサーの石橋さんに電話をした。
石橋さんは優しく、「ちょっと遅れているので、まだ間に合いますよ」と切り出してくれた。
どうしよう。家族が死んだことにしようか。いや、ウソはウソの上塗りをつくるだけだ。
ここは正直に行くのが一番いいのではないか。
「いや、すみません、実は行けなくなっちゃったんです」
「え、どうしたんですか、大丈夫ですか」
「いま渋谷駅なんですけど、うんこもらしちゃったんです」
「......え?」
石橋さんが硬直した。ように思えた。
すぐにカイブツ木谷さんが電話を替わった。
「もしもし?ヒロキくん?うんこもらしたの?ぎゃあっはっはっはっは!」

......。

とにかく電話を切った。
スタッフはやさしい。大丈夫だ。案は固まっていたし、きっと打ち合わせはうまくいくだろう。
固まってなかったのは、うんこだけだ。

もう帰ろう。立ち止まってるとうんこ臭いし。

こんなときに限って、改札でクライアントを見かけた。TOTOさんだった。
一緒に、「しゃべるトイレ」を開発した、あのTOTOさんだ。
TOTOさん、次は移動式便器を開発しましょうね。
そう思いながら、とにかく気づかれないように行動した。
ソリッドスネークばりに周囲に溶け込み、その場を脱した。

電車の中では、下を向いて、とにかくiPhoneをいじり続けた。
いくつかツイートもした。
================
人間、たいしたことではないのに、つぶやけないことってあるんだな 4/7 午後 12:44 Echofonから

誰もいない世界にいきたい 4/7 午後 12:48 Echofonから
 
いま私がいる、永田町駅のすべての人に謝りたい 4/7 午後 12:49 Echofonから

そんな気持ちを贈りたい 4/7 午後 12:50 Echofonから

もし、この戦いが終わっても生きていいって言われたら小さな鏡を一つ買って微笑む練習をしてみよう 4/7 午後 1:03 Echofonから

もし、誰も傷つけずに生きていいと言われたら、風にそよぐ髪を束ね、大きな一歩を踏みしめて、胸を張って会いに行こう     4/7 午後 1:06  Echofonから
==================
ツイッター見すぎて、普通に乗り過ごして新木場まで行ってしまったりして、やはり死のうかと思った。

で、家に戻った。あとはもう、ジーパンのままフロに行き、EDWINのCMばりに、「ゴーマルッサァァァン」と鼻歌混じりにわっさわっさとすべてを洗い流した。
「中村洋基2」とすら言えるくらい、ぴかぴかになった。

I先生、スタッフのみなさん、すみませんでした。


追記:同僚から「ラマーズ法やったら脱糞が促進されるだろ」と言われました。


Ole! Ole! CR-Z

  • Posted by: nakamura
  • 2010年4月 5日 00:00
  • Work
Ole! Ole! CR-Zというmixiアプリを作りました。ソーシャルアプリ人生初挑戦。
oleole.jpg

「ニックネームにCR-ZをつけたらCR-Zプレゼント」という企画。
Webは、visitをおおよその来訪者と考えるが、mixiアプリの、それよりも厳密な「人」という勘定は面白い。
これを書いている現在で、およそユーザー80万人。そのほとんどがアクティブユーザー。
当初の目標は1万人だった。
mixiのユーザー数は1800万人。80万人ということは、22.5人にひとりは「CR-Z」をつけている計算だ。
ぼくのマイミクは125人。そのなかで、22.5人を下回っているひとはふたりしかいなかった。

つまり、ほとんどすべてのmixiユーザーに「CR-Z」はリーチした。
それも、「ありがちなクルマのCMで」ではなく、「自分の信用おけるマイミクの名前で」という方法で。

「なぜこんなに成功したの?」と、よく聞かれる。
このキャンペーンの骨子は簡単で、「ニックネームにCR-ZをつけたらCR-Zプレゼント」という夢の企画を実現したい、という、ただ単純なことだ。
mixiのニックネームを変えるだけで、クルマがもらえるなんて、誰も考えていなかったはずだ。

もともと、Web広告がほかのメディアより優れている意義とは、「システムを作って人の気持ちを変える」ことだと思っている。表現を作ることより、その器を作ることのほうが面白い。
クルマとは、おそらく一般家庭にとって、家のつぎに高額な「夢」の商品(賞品)だ。
その夢を、誰でも簡単にゲットできるようなシステムを作りたい。そういう思いから生まれた。

ただ、ひとりにしかプレゼントできないものに対して、ソーシャル要素があまりにもハマりすぎてしまったため、一部の風評では、ひどい扱いを受けている。これは非常に悲しい。

このアプリが、恐ろしい勢いでユーザー数を増やし続ける理由は、
シンプルに「友達増やせばもっと当たるかもしれない」を提示している点だ。
毎日アクセスすれば当選確率が上がり、マイミクがCR-Z化すればもっと上がり、招待すればもっと上がる。
招待しても、確率算的にはベネフィットになっている。だから招待するのだ。
これは、実は、ほとんどゲーム理論の「囚人のジレンマ」そのままだ。

ただ、詐欺になってはいけないので、実際に招待をたくさんした人が、きちんと当選確率が高くなっている、良好なシステムだ。
ほかの有料・課金制アプリのほうが、婉曲的にもっとアコギなことをやっている。


ぼくが思うのは、いままでのオープン懸賞キャンペーンは、たとえば、
「『●●●スブルグ』の●●●を答えて、ワールドカップにご招待!」のようなものだった。
これをソーシャル文脈に置き換えるだけで、まったく新しい、しかも広告にもなりえる、という新しい可能性の提示だ。
さらに言うと、ほとんどユーザーには損がない。むしろ得しかない。
なのに、「これはなんか、モノでつってるみたいでイヤ!」という声が聞こえてくる。......「恋してキャバ嬢」の課金下着をばしばし買っているようなユーザーから。そう言っている間に、その何千倍もの、新規参入ユーザーにその声は飲み込まれていく。なんかそれ全体がちょっと虚しくて悲しくもある。
googleストリートビューがローンチしたときも、日本人ってこんなだったなあ...。
今では、誰も何も言わない。

ぼくは、Web広告とは、もっと人々の利益になるものを作るべきだと思っている。
もう、そうじゃないと振り向いてもらえないからだ。
利益とは、つまるところ「面白い」か「得」かのいずれかだ。
そして、この企画は、圧倒的に「得」だ。

かならずそのどちらかを、自分のできる方法で提示したい。
この世界は、ぼくら平和ボケの日本人が思っているような保守的なシステムに守られているのではなく、もっと適当なモノの上に成り立っていて、明日交通事故にあえば、吹き飛んでしまうようなワイルドなものなのだ。

だから、明日にでも刺激的なことをやって、みんなのコンサバな脳に刺激を与えて、もっとぼくたちの人生は面白くてワケわからないものの羅列なんだよ、ということをシステムで知らせる必要があるんだと思う。
さいきんおもしろいこと、なんかあった?


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